「今日は絶対OKを貰いたくてね」
と柳井は意気込んで言うと、
「平沼さん、ヨットの誘いです」
と乾が付け加えた。
「ヨットは乗ったことがないけど」
「そうでしょう。平沼さん、気分転換にいいですよ、と言うより付き合ってください」
柳井は顔の前で両手を合わせた。
困惑を隠せないでいる裕子に、
「平沼さん、一緒に行きましょうよ。私と美佐も乗せてもらうの」
遅れてやってきた柳井のクラスメートの恭子も誘った。
裕子は出来れば教室以外で乾と会うことは避けたかった。
彼女には日本画展に出かけて以来、乾の気持ちが負担になってきていた。
「私が参加すると平均年齢が上がってしまうわよ」
裕子は今回も逃げようとしたが、
「何言ってんですか。知らないでしょう。
柳井さんと乾さんが平沼さんに恋焦がれていること」
恭子はしてやったりと言うように唖然としている柳井と乾の方を見て笑った。
「ち、違いますよ。そんな不純な動機ではありませんよ」
顔を高潮させて柳井が言うと、
「でも、僕は素敵な人だと思う」
と乾が裕子だけを見て言った。
一瞬の沈黙が、
「潮風に吹かれたら気持ちいいわよね。お弁当何がいい」
という裕子の言葉で彼等に笑顔を取り戻させた。
彼女は恭子や美佐と当日持参するものを相談しているうちに、躊躇していた気持ちが払拭されていった。
裕子が時計を見ると既に九時半を回っていた。
「もうこんな時間。そろそろ帰りましょうか」
と言う彼女の声に促され、
「よっしゃ。それじゃ帰るとしますか。僕は恭子さんを送るから、乾は平沼さんと美佐
と柳井は意気込んで言うと、
「平沼さん、ヨットの誘いです」
と乾が付け加えた。
「ヨットは乗ったことがないけど」
「そうでしょう。平沼さん、気分転換にいいですよ、と言うより付き合ってください」
柳井は顔の前で両手を合わせた。
困惑を隠せないでいる裕子に、
「平沼さん、一緒に行きましょうよ。私と美佐も乗せてもらうの」
遅れてやってきた柳井のクラスメートの恭子も誘った。
裕子は出来れば教室以外で乾と会うことは避けたかった。
彼女には日本画展に出かけて以来、乾の気持ちが負担になってきていた。
「私が参加すると平均年齢が上がってしまうわよ」
裕子は今回も逃げようとしたが、
「何言ってんですか。知らないでしょう。
柳井さんと乾さんが平沼さんに恋焦がれていること」
恭子はしてやったりと言うように唖然としている柳井と乾の方を見て笑った。
「ち、違いますよ。そんな不純な動機ではありませんよ」
顔を高潮させて柳井が言うと、
「でも、僕は素敵な人だと思う」
と乾が裕子だけを見て言った。
一瞬の沈黙が、
「潮風に吹かれたら気持ちいいわよね。お弁当何がいい」
という裕子の言葉で彼等に笑顔を取り戻させた。
彼女は恭子や美佐と当日持参するものを相談しているうちに、躊躇していた気持ちが払拭されていった。
裕子が時計を見ると既に九時半を回っていた。
「もうこんな時間。そろそろ帰りましょうか」
と言う彼女の声に促され、
「よっしゃ。それじゃ帰るとしますか。僕は恭子さんを送るから、乾は平沼さんと美佐
