いるため混雑し売り場の人の呼び声も一段と高くなっていた。
彼女は母が喜びそうな惣菜を探し、亡父が好きだった和菓子を買い求め、早々の態で食料品売り場を出ると、駅の改札口に向かった。
裕子がプラットホームに着くと、幸い発車待ちをしている和歌山行き急行に乗ることが出来た。
社内の暖房が彼女の睡魔を呼び起こし、うっかりすると隣人の方に頭を預けそうになった。
「裕子」
 声をかけながら、誰かが彼女の傾いた頭を反対方向に引き寄せ、もたれかけさせてくれ、アラミスのオーデコロンの香りが裕子の疲れた心を包みこんだ。
 どれほどの時間が過ぎただろうか、裕子は思いっきり背伸びをしたくなり目を開けると、
 「疲れていたんだね」  
 彼女の間近にマイクの顔があった。
 「マイク!」
 裕子は驚きと恥ずかしさで顔を紅潮させた。
 マイクは本を片手に持っていたが、裕子が肩にもたれていたため、同じ姿勢で辛かっただろうと彼女は思った。
 「大阪まで、ショッピング?」
 マイクは恐縮している彼女の心を計ってか、話題を逸らせた。
 「朝から本部で会議でした」
 「そうか、それで裕子はあんなに疲れていたんだ」
 「マイク、ごめんなさい。疲れたでしょう。
でもマイクで良かった。知らない人だったらと思うと」
 裕子が忸怩たる思いで下を向くと、
「気にしないで。裕子はもっと肩の力を抜いた方が楽になるよ」
マイクは笑いながら続いて深呼吸をするジェスチャーをした。
 「裕子は何でも一生懸命しているように見えるから」
 「そうかしら?」
 「そう見えるんだ。だからよく山城先生の病院に行くんだろう」
 マイクは裕子が胃痛を起こすと行く山城胃