員集合できるのは休日になるので」
 「マネージャーと言う仕事も大変ですね。一人で和歌山校を運営しているのだから」
 「でも英会話の勉強にはなりますよ。それに職種の違う沢山の生徒さんがいるから楽しいです」
 裕子は務めて、苦なく答えた。
 乾は彼女の言葉に、
 「平沼さんと話していると、何故か納得して、元気が出てきます」
 と言いながら笑った。
 話題が裕子の問いかけたヨットレースに移ると、若者らしく海に求める夢は時には彼女の瞳を見つめて語り、ある時は車窓に映る水平線の彼方を望んでいた。
 難波駅で別れ際、
 「平沼さん、今度一緒にヨットに乗りませんか」
 乾が誘ってきた。
 「そうですね。ただ休みが少ないから」
 と裕子は曖昧に答え、彼女の後ろ姿を追っている乾の視線を感じながら、足早に地下鉄に続く階段を降りた。
 地下鉄梅田駅で下車して地上に上がると、裕子はそのまま歩道橋を渡り、ヴィクトリー大阪本部があるビルに急いだ。
 ビルの一階フロア―に大阪本部があり、近畿一円の支部校を統括していた。
受付に行くと、既に顔見知りの女性社員がいて、裕子も彼女達と話すことで緊張感が薄らいだ。
 定刻十時になると、会議室に社長以下幹部社員が分厚い資料を片手に現れた。
 社長の横田龍介は大学卒業後、大手進学塾の講師を経て、若干三十五歳で英会話スクール・ヴィクトリーを創設した人物だった。
 マネージャー一人一人の労をねぎらった後、送金額が停滞している支部校に対しては、侮蔑とも取れる言葉を並べ、彼等は下を向き隠忍していた。
 昼食は女子社員がデパートの地下で購入した弁当が配られ、終日会議室で過ごした。
 五時に本社ビルを出て、裕子が地下鉄で難波駅まで出てから隣接しているデパートの地下食料品売り場に行くと、閉店時間が迫って