会場の時計の針が九時を指したので、裕子は簡単に挨拶をした後、外国人教師達にもマイクを廻してから最後を締め括りパーティーは閉会した。
生徒達を見送った後、外国人講師やホテルの従業員に礼を言って裕子も退出した。
エレベーターで一階に下りると、乾がフロントの前でタバコを吸っていた。
「今日は楽しんでくれましたか」
裕子が声をかけると、
「はい。久しぶりに楽しかったです。でも平沼さんは疲れたでしょうね。食事はまだでしょう」
と乾はタバコを消して立ちあがった。
「バタバタしていたので」
「良かったら、そこのレストランで食べませんか」
「乾さん、召し上がらなかったのですか」
「もっぱら飲んでいましたから」
「柳井さんとはご一緒じゃ?」
「真介はクラスの人達とディスコに踊りに行きました。サタデーナイトフィーバーだそうです。タフな奴ですよ」
「乾さんは行かなかったのですか」
「僕は明日、京都に行くので遠慮しました。
さぁ、行きましょう」
と言いながらすでに同じフロア―にあるレストランに向かって歩き始めた。
裕子は断るタイミングを逃したことを苦笑しながら後に続いた。
レストランに入ると乾は窓側の席を選んだ。
裕子は生徒達に会うことを危惧していたが、
幸いあたりを見渡しても知った顔はいなく安堵した。
レストラン特製のオニオンスープの付いたクラブハウスサンドイッチセットを二人は注文した。
乾は食事を誘ったものの、やはり緊張を隠せないようで、外の景色にしきりに眼を移していた。
「製薬会社のお仕事というと、病院回りとかされるのですか」
裕子は乾が答えやすいような質問をした。
「僕は大学病院を担当しています」
「父が入院していた時、ネームプレートを
生徒達を見送った後、外国人講師やホテルの従業員に礼を言って裕子も退出した。
エレベーターで一階に下りると、乾がフロントの前でタバコを吸っていた。
「今日は楽しんでくれましたか」
裕子が声をかけると、
「はい。久しぶりに楽しかったです。でも平沼さんは疲れたでしょうね。食事はまだでしょう」
と乾はタバコを消して立ちあがった。
「バタバタしていたので」
「良かったら、そこのレストランで食べませんか」
「乾さん、召し上がらなかったのですか」
「もっぱら飲んでいましたから」
「柳井さんとはご一緒じゃ?」
「真介はクラスの人達とディスコに踊りに行きました。サタデーナイトフィーバーだそうです。タフな奴ですよ」
「乾さんは行かなかったのですか」
「僕は明日、京都に行くので遠慮しました。
さぁ、行きましょう」
と言いながらすでに同じフロア―にあるレストランに向かって歩き始めた。
裕子は断るタイミングを逃したことを苦笑しながら後に続いた。
レストランに入ると乾は窓側の席を選んだ。
裕子は生徒達に会うことを危惧していたが、
幸いあたりを見渡しても知った顔はいなく安堵した。
レストラン特製のオニオンスープの付いたクラブハウスサンドイッチセットを二人は注文した。
乾は食事を誘ったものの、やはり緊張を隠せないようで、外の景色にしきりに眼を移していた。
「製薬会社のお仕事というと、病院回りとかされるのですか」
裕子は乾が答えやすいような質問をした。
「僕は大学病院を担当しています」
「父が入院していた時、ネームプレートを
