「止めたいんです」
彼女は裕子に対し全く笑顔を見せない女性であった。
生徒達を満面の笑顔で送り出していたパトリシアが、入り口のドア―を閉め終わると、形相を一変させ、裕子を事務室に引っ張った。
「理世とは大違い。あなたは冷たい。彼女が更新しなかったのはあなたが悪い」
パトリシアの言葉に、普段は温厚な裕子も毅然として反論した。
「あなたはいつも前任者の理世と私を比べるが、彼女は不正が発覚して辞めさせられた人。更新しない人達は理世と親しい人ばかりじゃないの。理世の友達は支払った授業料以上にレッスンを彼女から延長してもらっていたわ。生徒の延長に対して、パトリシアは特別手当を貰っていたでしょう。あなたと理世が友達でも私には関係ないわ。私はそういう不正は絶対出来ない。現在の和歌山校のボスは私です。」
パトリシアは反論する言葉を失い、ドア―を蹴破るように出て行った。
「裕子、よく言ったね。その通りだ」
マイクは裕子の肩を叩き、
「裕子が優しくて、美しい人だって生徒達は言ってるよ。パトリシアの言うことは気にしなくていい。彼女が間違っているのだから」
と言葉を足した。
「ありがとう。パトリシアとも仲良くしたいのだけど-----」
「大丈夫だよ。裕子の良さはそのうち彼女にもわかるよ。さぁー、真介達が待っているから行こう」
普段事務室では寡黙な彼の言葉が裕子には嬉しかった。
裕子が留守番電話をセットしてから、教室を回り火の元と戸締りを確認し二人は英会話スクールを出た。
柳井達が待っているファミリーレストランに到着すると、一番奥の窓際のテーブルから片手を挙げて柳井がこちらを見ていた。
二人が近づくと、
「平沼さんどうぞ」
真っ先に、柳井は乾との間を空けて彼女の座る場所を作ってくれ、
彼女は裕子に対し全く笑顔を見せない女性であった。
生徒達を満面の笑顔で送り出していたパトリシアが、入り口のドア―を閉め終わると、形相を一変させ、裕子を事務室に引っ張った。
「理世とは大違い。あなたは冷たい。彼女が更新しなかったのはあなたが悪い」
パトリシアの言葉に、普段は温厚な裕子も毅然として反論した。
「あなたはいつも前任者の理世と私を比べるが、彼女は不正が発覚して辞めさせられた人。更新しない人達は理世と親しい人ばかりじゃないの。理世の友達は支払った授業料以上にレッスンを彼女から延長してもらっていたわ。生徒の延長に対して、パトリシアは特別手当を貰っていたでしょう。あなたと理世が友達でも私には関係ないわ。私はそういう不正は絶対出来ない。現在の和歌山校のボスは私です。」
パトリシアは反論する言葉を失い、ドア―を蹴破るように出て行った。
「裕子、よく言ったね。その通りだ」
マイクは裕子の肩を叩き、
「裕子が優しくて、美しい人だって生徒達は言ってるよ。パトリシアの言うことは気にしなくていい。彼女が間違っているのだから」
と言葉を足した。
「ありがとう。パトリシアとも仲良くしたいのだけど-----」
「大丈夫だよ。裕子の良さはそのうち彼女にもわかるよ。さぁー、真介達が待っているから行こう」
普段事務室では寡黙な彼の言葉が裕子には嬉しかった。
裕子が留守番電話をセットしてから、教室を回り火の元と戸締りを確認し二人は英会話スクールを出た。
柳井達が待っているファミリーレストランに到着すると、一番奥の窓際のテーブルから片手を挙げて柳井がこちらを見ていた。
二人が近づくと、
「平沼さんどうぞ」
真っ先に、柳井は乾との間を空けて彼女の座る場所を作ってくれ、
