「んじゃ、石川。あとよろしく」
「え...あ、斎藤(サイトウ)くん?」
「すまん。石川!」
返事も聞かず足早に去っていく背中を
見て、私。
石川沙羅(イシカワ サラ)は1人、この状況に飲み込めないでいる。
「え....嘘でしょ........」
誰もいない教室にやけに響く私の声。
急にやる気がなくなってきた。
「本当は今日、日直でもないのに....」
机に突っ伏すとため息を1つ。
斎藤くんが「手伝ってくれ」って言ったのに....
「はぁ....」
昔から頼まれたことは責任をもって物をこなす私。
だけど、
それは頼まれたことが断れないって
ちょっと、イヤな性格でもあるんだ。

