真一文字に口を結ぶ龍太郎。

龍娘は、彼の顔を真っ直ぐに見据える。

「…私も教師だ。教えを乞われたら断る訳にはいかんが…」

クルリと椅子を回転させ、龍娘は背を向けて立ち上がる。

「武道に関して弟子入りなどさせた事がない。老師(ラオシー。中国武術における『師匠』であり、老齢でなくともこう呼ばれる)を務められるほどの器ではない…それでもよければ」

肩越しに、龍太郎を見る龍娘。

「手取り足取りは教えんぞ。見て覚えろ。ついて来れなくとも置いていく」

「応」

龍太郎は大きく頷いた。