『え…』

振り向く小夜。

龍太郎は腕を押さえたまま歩く。

彼の呟きは小夜以外には聞こえなかったのか。

「女相手に容赦ねぇぞ丹下ぇっ!」

「見損なったぞスペシャルバカ!」

「るっせぇっ!勝負は非情なんだよこの野郎!」

野次馬達と罵り合う龍太郎の背中を、小夜はいつまでも見つめていた。