廊下を歩いていた龍太郎達三人に。

「丹下 龍太郎!」

聞き慣れない声が耳に入る。

声からして女子生徒らしい。

鈴を転がすような甘ったるい声。

だが、こんな声の友人は記憶にない。

振り向く三人。

…そこには予想通り、女子生徒が立っていた。

合気道の道着によく似た、白い道着に袴姿。

おかっぱの黒髪がサラサラと揺れ、愛らしくも凛々しい瞳が見つめる。

三人の中のただ一人、龍太郎を。