天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅤ(劣化版)

龍太郎と小夜。

生徒達の衆人環視の中、両者は一定の距離を保って対峙する。

…もう小夜には言葉はない。

いつもの無口少女。

しかしその小さな身からは、青白い闘気が立ち昇っている。

おとなしく、温厚で、オロオロするばかりのいつもの小夜と同一人物とは思えない。

一武人としての姿がそこにはあった。

そして龍太郎もまた。

女子に小突かれ、教師に殴られ、おどけたヤラレ役を演じるいつもの彼はそこにはいない。

辛苦に耐えて肉体を凶器と化す、求道の武道家としての男がそこに立っていた。