vivid

 一人座ったままの俺をリグレイが急かした。

 構わずに座ったまま言い放つ。

「賭けだろうがなんだろうが、やるからには勝つ」

 キティが口笛を吹いた。

 ルーイは、なぜか拍手をしていた。

 リグレイは舌打ちを。

 三者三様の反応、見事にバラバラだ。性格も境遇も、おそらくまるで違う。これから先のことが思いやられた。

「格好いいこと言うじゃないのさ、色男」

「うん、マジかっこいい………なんて言ってると、またイッシュ顔真っ赤になんじゃね?」

「だとよ、色男」

「……………うるさい」

「さて、イッシュからかって遊ぶのは、この辺にしといてアタシはそろそろ帰るよ。戻って来るまでは此処で待ってとくれ」

 やっぱり遊んでいるのか、と俺が抗議するより先にキティは歩き出した。

 向かった先は部屋の窓だ。

「帰るって、どこに」

「つーか……窓から出んの?」

 俺が思っていたことを二人が代弁してくれた。

 頭の上にクエスチョンマークが浮かんでいるであろう俺たちにキティは楽しげに笑ってみせた。

「城だよ、ブラックの」

「おいおい、いつか自分が殺そうって奴のとこに帰んのか?おかしいだろ」

「それもルールなんだよ。いや、ルールって言うよりはヘーカの命令って言った方が正しいのかねぇ。"七日に一回は帰ってこい゙ってさ。まったく、迷惑な話だよ」

「……………束縛って言葉、知ってるか?お前」

「馬鹿にしてんのかい?」

 僅かに砂の混じった風が部屋に吹き込んでくる。

砂が目に入らないように顔をしかめた頃には、もうキティの姿はなかった。