「そんなことを訊くってことは…復讐でもする気かい?」
「その男が生きていればの話だが」
そう言うとキティは悲しそうな、それでいて怒り出しそうな、なんとも言えない顔をして俺を見た。何か試しているかのような視線だった。目を逸らしたら負けだ、何が"負け"なのかは自分でもわからないが兎に角、目は逸らさない。
俺にとって"黒"は憎むべき存在だ。
だからと言って黒の者みんながみんな憎い、と豪語できるほど馬鹿でもない。白の者を馬鹿にする黒の者は嫌いだ。でも俺の両親を殺したのは黒は黒でも、ただ一人。憎むべき人間は、あの男ただ一人なのだ。
復讐?できるものならしたいに決まっている。
折れたのはキティだった。
少しだけ考える素振りを見せたあと、頷く。
「わかった。調べてみよう。隊服は今の師団のものとはデザインが変わっちゃいるが色は今も昔も灰色だからね。もしかしたらグレイ師団の隊員って可能性もなくはないだろうし。そもそも顔の見えるところにカラーコードのある奴なんて、そうそういないからねぇ」
「そうか……頼む」
「"頼んだ"ってことはアンタも"仲間"入りってことで構わないね?」
「訊くまでもないだろう」
二度と"白狩り"のようなことが起こってはならない。"仲間"入りの第一の理由は、それだけだ。
素直に頷いてやるのも癪で顔を背けた。
背けた先にいるルーイが"よろしくな、イッシュ"なんて言いながら呑気に手をあげている。
毒気を抜かれた俺は、ぎこちなく笑い返すことしかできなかった。
「まあ、くどいようだけど、とりあえず確認だ。最後に、もう一度だけ訊こう。本当にアタシの"仲間"になるのかい?命の保証はしない、強制もしない、アンタたち次第だ」
立ち上がったキティが、ご丁寧にも最後の逃げ道を用意した。今"仲間"にならないと言えば、この命懸けの賭けには乗らずに済む。
無論、俺は一度口にしたことを違えるつもりはない。
「本当にくどいな。いいか?何を言われようが俺の意志は変わらない。俺はお前に"協力"する」
どこか楽しげな笑みを浮かべたリグレイがキティにならって立ち上がった。
雰囲気に流されるように続いてルーイまで立ち上がる。
「男に二言はねぇ!ってヤツだな!」
「お、よく言った!ボウズ。おい、色男、お前もちったあ空気読んでなんか言え」
「その男が生きていればの話だが」
そう言うとキティは悲しそうな、それでいて怒り出しそうな、なんとも言えない顔をして俺を見た。何か試しているかのような視線だった。目を逸らしたら負けだ、何が"負け"なのかは自分でもわからないが兎に角、目は逸らさない。
俺にとって"黒"は憎むべき存在だ。
だからと言って黒の者みんながみんな憎い、と豪語できるほど馬鹿でもない。白の者を馬鹿にする黒の者は嫌いだ。でも俺の両親を殺したのは黒は黒でも、ただ一人。憎むべき人間は、あの男ただ一人なのだ。
復讐?できるものならしたいに決まっている。
折れたのはキティだった。
少しだけ考える素振りを見せたあと、頷く。
「わかった。調べてみよう。隊服は今の師団のものとはデザインが変わっちゃいるが色は今も昔も灰色だからね。もしかしたらグレイ師団の隊員って可能性もなくはないだろうし。そもそも顔の見えるところにカラーコードのある奴なんて、そうそういないからねぇ」
「そうか……頼む」
「"頼んだ"ってことはアンタも"仲間"入りってことで構わないね?」
「訊くまでもないだろう」
二度と"白狩り"のようなことが起こってはならない。"仲間"入りの第一の理由は、それだけだ。
素直に頷いてやるのも癪で顔を背けた。
背けた先にいるルーイが"よろしくな、イッシュ"なんて言いながら呑気に手をあげている。
毒気を抜かれた俺は、ぎこちなく笑い返すことしかできなかった。
「まあ、くどいようだけど、とりあえず確認だ。最後に、もう一度だけ訊こう。本当にアタシの"仲間"になるのかい?命の保証はしない、強制もしない、アンタたち次第だ」
立ち上がったキティが、ご丁寧にも最後の逃げ道を用意した。今"仲間"にならないと言えば、この命懸けの賭けには乗らずに済む。
無論、俺は一度口にしたことを違えるつもりはない。
「本当にくどいな。いいか?何を言われようが俺の意志は変わらない。俺はお前に"協力"する」
どこか楽しげな笑みを浮かべたリグレイがキティにならって立ち上がった。
雰囲気に流されるように続いてルーイまで立ち上がる。
「男に二言はねぇ!ってヤツだな!」
「お、よく言った!ボウズ。おい、色男、お前もちったあ空気読んでなんか言え」

