「ちょっ、放せロリコン」

「まぁ口が悪いのは少し教育が必要だな」

「きもい!きもい!」

「語彙力無いな、お前」

「助けてー!!誰か助けて……むぐっ」



隣の職員室に向かって大声で助けを求めると。


大きな大人の掌で口を塞がれ、腕の中へ拘束された。


背中が、堅い胸板と密着する。



「大槻」


声を発せられると、息が耳にかかってゾクッとする。


「耳が、赤いけど」



そう言って、先生は耳元でクスリと笑った。



反論したくても、彼の掌がそれを邪魔する。


息苦しさか、無駄に動く心臓のせいか。苦しくなってきたから肘で先生のお腹を何度かつつくと。




「数学、頑張れる?」



卑怯なことにそんなことを聞いてきたから、わたしは首を縦に振るしかなかった。