「……お前は?」

「お、俺?俺は別に習ってたもんとか無いなぁ~。至って普通が、俺の売りだから」

そう言ってエヘへと笑った藤谷を真っ直ぐに見つめる。

「ここに来る前は何をしていた?」

「しがない普通のサラリーマン」

「……ふ~ん」

その藤谷の答えに冷たい視線を向けると、藤谷はグッと眉を顰めて見せた。

「あ、疑ってんな!?」

「当たり前だろ。お前みたいな胡散臭い奴が一番信用できない」

そう言ってフンと鼻で笑って見せると、藤谷はムッと表情を険しくした。