「悪魔は嘘は言わねェよ?」

コウモリは俺の考えが分かるかの様にそう呟くと、クスリと甘い吐息を漏らす。

「……それじゃあ……俺は……」

「まぁ、そんなに気にスンナ!!殺したって言っても間接的にだし……ここでは人殺しなんて息を吸うくらいに当たり前の事なんだぜ?……さ、気持ちを切り替えて頑張りましょー!!」

そう言ってコウモリが俺の周りを飛び回るが、頭を抱えたまま……目の前の男を見つめた。

動かなくなった男の姿はあまりにも非現実的で、そしてこの狂った世界もあまりにも非日常的過ぎる。

「……夢なら……今すぐに覚めてくれ」

その決して叶う事の無い願いを何度も繰り返しながら、どうしようも無い恐怖と……そして逃げる事の出来ない残酷な現実を……漠然と理解した。