「お前……」
「迷ってる暇はねェな。お前はコイツが用意したカードを使って、あの女はそこの死んでる女のカード足して元の世界に帰れる。それでお前達の物語は《完結》だ」
そのコウモリの言葉に、グッと歯を食い縛る。
「でもそれじゃ……」
「そうだな。この世界は終わらない。まるで輪廻の様に永遠に続く。この悪夢の世界が」
俺の言いたい事が分かるかの様にコウモリはそう言うと、それから静かにジョーカーを見つめた。
「でも、そっちを選べば、コイツの想いを裏切る事になるぜ?」
そのコウモリの言葉に何も答えられないまま、ただ茫然と消えて行くコウモリを見つめる。
その間も沢山の思考が、頭の中を駆け巡っていた。
それはグチャグチャと俺の頭の中を掻き回し、一向に治まる気配を見せない。
しかし次の瞬間、深く息を吐くと、真っ直ぐにコウモリの瞳を見つめた。
「《お前》の……望みは?」
俺の呟く様な問いにコウモリは微かに目を見開き、それから困った様に笑って見せる。
「叶うのなら……本当の《結末》を。《アイツ》の永い《悪夢》を……覚まして欲しい」
コウモリが小さくそう答えた瞬間、コウモリの身体は全て灰になり、それは静かに宙へと消えた。
「……分かった」
その俺の答えがアイツに届いたのかは分からなかった。
でも震える身体も、抉られる様な胸の痛みも全てを無視して、小さく笑みを浮かべる。



