《クラブの2のプレイヤーはすでに死んでいます》

そんな赤い文字がチカチカと点滅し、そして次の瞬間、テーブルの上のカードが消える。

「……な、なにが……」

「だって私……《クラブの2》じゃないですから」

困惑する俺の言葉を遮り、黒咲さんはそう言ってクスクスと可笑しそうに笑った。

「そんなだってアンタは……」

「二人には短い間でしたがお世話になったので、特別に教えてあげますね。私からの餞別です」

そう言って黒咲さんは甘美な笑みを浮かべたまま、着ているブラウスを思いっきり開く。

すると彼女の白い胸元が露わになり、そして見えた《それ》に……茫然と立ち尽くした。

「……ハートの……Q?」

その震える俺の呟きの通り、彼女の右胸に……《ハートのQ》の文字が見える。

「残念でしたね。せっかく須藤さんが《答え》をくれたのに」

そう言って黒咲さんは困った様に笑って、俺へと向けて指を差す。

それに誘われる様に視線を落とせば、窓から見える美しい満月の光が、まるで嘲笑うかの様に、俺の右胸に描かれた赤い《ハートのQ》を照らし出しているのが見えた。