「……おっと」

男はそれをひらりと避け岩陰に隠れると、クスクスと可笑しそうに笑う。

「なぁ~!俺知ってんだぜ?……アンタなんだろ?《あのカード》持ってんの」

そんな言葉が岩陰から響いてくるが、藤谷はそれに答えないまま俺を振り返った。

「走れ!!そのままエリア移動をしろ!!」

藤谷は男の隠れる岩へと向かって銃を撃ちながら、そう声を上げた。

「後で追っかけるから!!街エリアのあのビル集合で!!」

「でも……」

「……行け!!」

その藤谷の叫びにグッと息を呑み、そのまま勢いよく走り出す。

「あ!逃げんじゃねェよ!!」

そんな男の咎める様な声が後ろから聞こえ、そのすぐ後に渇いた銃声が響く。

その音と共に銃撃戦が始まった様で、洞窟内に断続的に銃声が響き続けた。

しかしそれを無視して、全力疾走で走り続ける。

右へ左へと曲がりながらも、真っ直ぐにエリアの境界線を目指す。

するとさっきまであんなにうるさく響いていた銃声は全く聞こえなくなり、それと共に酷い不安に襲われた。