「……でも……こんな……」

「いらないなら、俺にくれよ」

突然聞こえたその声に、勢いよく後ろを振り返った。

するとそこにはニヤリと不敵な笑みを浮かべる、一人の男の姿が見える。

漆黒の髪に、細身だが筋肉の付いた身体。

そして何より目を惹くのは、まるで野生の獣の様な……鋭い瞳だった。

男の身体には様々な武器が纏われ、そして男の見せるその余裕さに……彼が《普通》の人間ではない事はすぐに理解出来た。

不敵な笑みを浮かべている筈なのに、その目は全くと言っていい程、笑っていない。

深い闇を纏っている歪んだ瞳は、真っ直ぐに藤谷の手にしている《カード》に向けられていた。

「自己紹介でもしましょうか?俺は《クラブのK》……あ、アンタの挨拶はいらないぜ?だってアンタが……」

藤谷を真っ直ぐに見つめ、饒舌に男が話していた、その次の瞬間……藤谷は地面に転がっていた銃を手にすると、それを男に向けて撃った。