「お前……カードの為に」

その震える俺の問いに、藤谷は真っ直ぐに俺を見つめた。

「疑ってんの?俺を」

そう問い返され、その答えを探そうと必死に考えを廻らせる。

しかしいつも冷静な筈の俺の脳みそは、こんな時に限って《最悪な答え》しか導き出さなかった。

「どうして雪村を……」

「それはさっき説明した」

俺の言葉を遮ると、藤谷は俺に向かって手にしたカードを差し出す。

「あげる。千尋ちゃんの為のカードだ」

そう言って藤谷は、俺の答えを待つ様に静かに俺を見つめ続ける。

それから暫く、静寂が続いた。

互いに何も言わず、動かないまま、刻々と冷たい時が過ぎて行く。

「……千尋ちゃんにはやらなきゃいけない事があるんじゃないの?」

そう言って藤谷は小さく呟き……笑った。

それは笑っているのに、何故か泣いている様にも見える不思議な笑みで、それは俺の心を酷く惑わせる。