「……銃…声?」

そう小さく呟き、フラフラと立ち上がると、恐る恐る音のした方へと進んで行く。

……どうして、こんなに《嫌な予感》がするのだろうか。

ドクドクと心臓が鼓動を速め、いつの間にか握り締められていた手の平に、不快な汗が滲む。

しかしそれを無視して歩き続けると、不意に広い空間に出た。

そこはまるで洞窟をくり抜いた様なドーム状の空間で、そしてその中央に見えた光景に……茫然と立ち尽くした。

俺の見開かれた瞳のその先には、あの《二人》の姿が見える。

それは静かにその場に立ち尽くす藤谷と、そして地面に倒れ、夥しい《血》を流す……雪村だった。

倒れている彼女の手には拳銃が握られ、辺りには微かな硝煙の香りがする。

「……ゆき……むら」

擦れた声で彼女を呼ぶと、藤谷が静かに俺を振り返る。

藤谷の右頬には赤い一本の線が走り、そしてその彼の手には、血で染まった……鈍く光る《ナイフ》が握られていた。