「……ッ!!」

そう小さく声を洩らし、勢いよく飛び起きる。

ゼイゼイと荒い呼吸を抑える様に胸に手を当てたまま、そっと辺りを見回した。

そこは青白い不思議な光を放つ……洞窟。

ゴツゴツとした岩が並び、そしてそれを抉った様な小さな窪みの間に俺は居た。

……そうか、あれから水を浴びて、三人で眠ったんだ。

そんな記憶が蘇り辺りを見回すが、そこに……《二人》の姿は無かった。

「……藤谷……雪村?」

そう小さく二人を呼ぶが、それに応えるモノは居ない。

シンと静まり返った洞窟内に、俺の声は呑み込まれる様に消えて行った。

寝転んでいた俺の横には、二人の荷物が置かれたまま。

……一体、どこに……

そんな考えが頭に浮かんだその時だった。

パンと微かな破裂音が耳に届く。

それは洞窟内に反響し、不穏な予感を俺に告げた。