突然ジョーカーに突き飛ばされたかと思うと、そのすぐ後にズガンと激しい衝撃音が響いた。

それは俺の近くの岩を砕き、それと共に只ならぬ《命の危険》を感じる。

すぐに身体を起こし茫然と立ち尽くす霧島さんの手を取ると、慌てて岩陰に向かって走る。

それを追う様に断続的な銃声が聞こえ、気を失ったままのコウモリを抱き、霧島さんの手を引きながら、全力疾走で岩陰を目指した。

「そのままエリア移動をしろ!!早く!!」

ジョーカーは俺と霧島さんを庇う様に、銃弾の飛んでくる方へと銃を構え、それを放った。

激しい銃撃戦へと発展している後ろを無視して、ただ真っ直ぐにエリアの境界線を目指す。

その間も、胸に抱いたボロボロのコウモリや、最低最悪の殺人鬼だった筈のジョーカーの言葉が頭の中をグルグルと廻る。

しかしそれに構っている余裕は、今の俺には無かった。