「……千尋ちゃん」 藤谷が小さく俺を呼ぶが、それに応える事は出来なかった。 血が滲むほど強く拳を握り締めたまま、その場に立ち尽くす。 「このままここに居ても何にもならないわ。移動しましょう」 そう言って雪村はクルッと背を向けると、そのまま歩いて行く。 「どうするの……千尋ちゃん」 藤谷の呟く様な問いに、そっと目を閉じ、それから小さく口を開いた。