「ふ~ん、まぁいいや。ちょうど暇してたんだよね。新人狩るのも飽きちゃったからさ~。ま、少し面白い事思い付いたし……今は殺さないでやるよ」

そう言って男はケラケラと下卑た笑みを浮かべると、それから小さく首を傾げて見せる。

「それじゃあ、行きますか。愉しくて死にたくなる様な……そんな場所へさ?」

その男の囁く様な言葉と共に、まるで切り裂く様な強い風が吹く。

泣いている様な悲鳴を上げるその風が、まるで俺に何かを訴えている様に感じ、ただ強く不快な汗の滲む拳を握り締めていた。