『《運》だよ。彼等は誰よりも……《運》に恵まれている。生まれついて持っている《運》……言い換えれば《運命》が他の誰よりも秀でている。それだけだ』

「……運?」

『そう、命は決して平等ではない。生まれたその瞬間に、命の優劣が決まる。僕はそれを確かめて見たいんだよ。そして知りたい。……果たして君達が主人公となりえる存在なのかと』

少年はそう言ってニッコリと笑うと、俺の腕をそっと指差した。

それにつられる様にまた視線を落とせば、そこにある俺の左腕に……スペードのマークと《J》の文字が見えた。

「なんだ……コレ?」

震える声でそう呟くと、そっと腕に書かれた文字に触れる。

それをゴシゴシと擦ってみるが、どうやらそれは刺青の様に皮膚に滲み込み、取れない様だった。