パンと乾いた音が響き……そして辺りに一瞬の静寂が広がった。
静かに目を閉じたまま待って見るが、痛みも苦しさも……何も感じない。
ただまるで泣いている様な空気を切り裂く強い風の音を聞きながら……そっと目を開いた。
すると目の前に、あの眼鏡の男が倒れているのが見える。
男は仰向けのまま倒れ、真っ直ぐに赤い空を見上げたまま……ピクリとも動かなかった。
その男の額には、赤黒い《空洞》が見える。
それから目を離せないまま……カタカタと震える手に意識を向けた。
銃を握る震える俺の手に、《誰か》の手が重なっている。
それは俺の手を包み込む様に覆い、そして引き金に掛けた俺の指をそっと外した。



