「あっちの壁まで走れ!!」

そう声を上げる藤谷は、俺とは反対方向へと走って行く。

その彼の後を追う様に、壁にダダダダと数え切れない穴が刻まれていった。

……狙われている。

その事実にグッと息を呑むと、勢いよく身を翻し走り出す。

すると藤谷と同じ様に、俺のすぐ後ろを何かが通り過ぎる様な、不穏な気配を感じた。

何処からか断続的な銃声が響き、しかしそれが一体何処から向けられているのかは全く分からない。

ただ確かな命の危機を感じながら、全力疾走で夕暮れの街を走った。