「ヤバい……マズイ所に出たかも」 そう藤谷が小さく呟いたその次の瞬間、ドンと肩を突き飛ばされ、みっともなく地面を転がった。 そのすぐ後に俺が立っていた後ろの壁に、カンカンという不快な音と共に、小さな穴が刻まれる。 ……銃痕。 灰色の壁に刻まれた微かに煙を上げるその穴を茫然と見つめたまま、ゴクリと息を呑む。