「ジョーカーに出会った時、必ず聞かれるそうだ。……《サエキソウタを知らないか》と」
その彼の言葉と共に、背筋を冷たい汗が伝い落ちる。
「な、なんで……俺の名前を……」
「理由は知らない。だけど僕も一度ジョーカーに出会った事がある。それに他にも何とかジョーカーから逃げられたプレイヤーからこの話を聞いた。そのプレイヤーはこの世界に一年以上居たらしいけど……少なくともそれよりも前からジョーカーはこの世界にいるそうだ」
彼はそう言って困った様に笑うと、窺う様に俺を見つめた。
「分からない。俺は……何も知らない」
そう震える声で答えると、それからそっと窓際にとまるコウモリに視線を向ける。
「俺は何も答えられねェぜ?ただ一つ、教えてやれるとしたら……その男の今言った事は《嘘じゃない》って事だな。ケケッ!」
そのコウモリの言葉に、グッと強く拳を握り締める。



