「何にもないけど、ゆっくりしてよ」

そう言って彼はニッコリと笑うと、部屋の隅に置かれていたリュックを手にした。

「す、須藤さんは、ずっとここに居るんですか?」

その俺の質問に、彼はリュックを手にしたまま静かに俺を振り返る。

「……え?まさか。僕もこのエリアに来たのは昨日だよ。普段は色んな所をブラブラしてる」

彼はそう言うとリュックの中から水の入ったペットボトルを二本と果物の缶詰を二つ取り出し、俺と霧島さんの前に置いた。