「本当に……サエキソウタなの?」

「……え?は、はい。佐伯……颯太です」

困惑したままそう答えると、男は静かにコウモリを見つめる。

「俺は何も教えられねェぜ?ケケケッ」

そう言って笑ったコウモリに男は困った様に笑って見せると、それから俺を真っ直ぐに見つめた。

「へぇ……君がサエキソウタ。本当に……存在するのか」

「……へ?」

その男の言葉が理解出来ず小さく声を漏らすと、俺の肩へとコウモリがとまる。

「ほらほら早くしないと足音が聞こえてくるぜェ~?……《死神》の足音がよォ~?ケケケッ!!」

そのコウモリの嘲笑う様な声を聞きながら、静かに闇を纏う黄昏の街を……ただ茫然と見つめていた。