「‥慶太のあんな姿、初めて見たでしょ?」


不安そうにケイを見つめる私に須藤さんが言った。


さっきからケイは笑顔を作って横沢 愛莉と楽しそうに話している。


「ガキなんて興味ねぇ」って言ってたケイとは、まるで別人みたい。


「デビューして四年間、あいつも芸能界で生きていくために頑張ったんだ。」


須藤さんもケイを見つめる。


「気に食わなくても共演者とイイ関係を築いた方が自分の為になる。ましてや“恋人役”ともなるとね‥。」


ケイはプライベートではお世辞を言ったり、”ゴマをする“ようなことはしないし、それが大嫌いな方だ。


でも‥そんなケイがあんな風にまわりの雰囲気に気を使っているなんて‥。


「“アイドル”も立派な”社会人“でしょ?」


須藤さんが優しく微笑んだ。