「あと‥。」


須藤さんが言葉を続ける。


「キミ達が大学に入学した頃‥慶太と何かあった?」


「いえ‥何も‥。」


ー『春奈も誰かと付き合った方がイイんじゃね?』ー


ケイに言われた一言が私の胸をグサッと貫く。


「そう‥。ずっと硬派だった慶太が急に女遊びが激しくなったから。何かあったのかと思っていたけど。」


”私が一方的にフラレただけです“と私は心の声で答えた。


テレビ局に着いて、私は気持ちを入れ換えるように背筋を伸ばした。


この世界に飲み込まれないようにしなきゃ‥。


目に見えない不安に包まれながら、私は須藤さんの後ろについていった。