「‥本当に付き合ってる人はいるの?」


社長室を出て車に乗り込むと、須藤さんが運転しながら聞いてきた。


「本当は‥いないです。ケイにそう言うように指示されてました。」


須藤さんに嘘を言っても見透かされている気がして‥私は本当のことを話した。


「‥やっぱりね。慶太らしいな。」


須藤さんはクスッと笑いながら言った。


「社長はあんなこと言ってたけど‥あまり無茶はしないでね?」


「‥え?」


須藤さんが優しく呟く。


「すぐわかると思うけど、芸能界は女の子には何かとハードなところだ。特にキミみたいに純粋な子には‥ね。」


須藤さんは小さくため息をついた。


「困ったときは相談してくれ。」


「須藤さん‥ありがとうございます。」


私は運転席の須藤さんに頭を下げた。