なっちゃんはこれから就職先に用事があるらしく、私は一人家路についた。


ケイが帰ってきたら、なんて言おうか‥。


「気にしてないよ」なんて‥おかしいし。


でも‥なぜケイは私にキスしたんだろう。


私はそっと唇に触れた。


ケイに‥キスされた感覚がまだ残っている‥。


‥ダメ、そんなこと考えちゃ!


どうせ”アイドル“の気まぐれかなんかなんだから。


私は頭を冷やして、力強く歩き出した。


きっとケイは立ち直って何事もなかったように帰ってくるに違いない。


そうしたら、いつも通り「おかえり」って言おう。


ー そう自分に言い聞かせたのに。


ケイはそのまま二週間、家には帰って来なかった‥。 ー