「あんまり驚かせるなよな。それに‥ハルのドレス姿は俺が一番最初に見る予定だったんだけど‥。」 


ケイが恥ずかしそうに呟いた。


「‥ケイ‥。」


「冗談冗談。俺はハルが自分でやりたいことを見つけて元気になってくれたことの方が嬉しいから。ハル、就職おめでとう。」


「ケイ‥ありがとう‥。」


ケイの温かい言葉に涙がポロポロ溢れ落ちた。


「‥ケイは?仕事はどうなの?」


「俺?俺はもう完全復活。俺にとってハルとのことは“スキャンダル”じゃねーし。まわりに何言われて気にならない。だから、ハル。ちゃんと連絡してこいよな?用事なくてもイイからさ。」


「ケイ、私‥頑張るよ。だから‥またいつか、ホット・ワイン作ってくれる?」


「‥もちろん。」


耳元で聞こえるケイの声は本当に近くて‥。


ケイがすぐ隣にいるような‥そんな気がした。


そして一歩ずつ前に進む私の背中を、ケイが優しく押してくれていることがとても嬉しかった。