それにしてもスターの翔君に告白されて、悪い気はしない。
スターでなくても嬉しい、自分のこと好きと言ってくれる人がいるなんて幸せなことです。
でも、でもでも。
せっかくの友だちがいなくなってしまった……。
これはショックが大きい。
翔君はなかなかいい友だちだったのに。
傷心の私の気を紛らわしてくれるはずだったのに。
きっと連絡くれないし、あたしからは出来ないし。
次の日
あたしは事務所に出向いた。
来週から休みをもらってたけどキャンセルしてほしくて。
今のままでは、何の予定もないし、翔君もいないし。
ぼーっとして終わってしまう。
今の私はそれがまだ怖い。
事務所の前で竜に会った。
「よぉ。」
と右手をあげる竜。相変わらず軽いノリ。
その姿を見てホッとした。
竜は他のアーティストの助っ人でツアーに参加して地方に行っていたのだ。
「ねえ、美緒大丈夫なの?気になってたんだけど、大丈夫かなと思ったりもして。」
「大丈夫じゃなかった。大変だったんだから~!」
竜の胸板を拳で叩いた。
「ねえ、来週暇?」
竜がいれば事務所に行かなくても平気。
「暇じゃねえよ。仕事だよ。何で?なんかあるの?」
「何もないから、あたしの暇つぶしの相手を探してるの。」
と言うと竜は案の定嬉しそうな顔をしてこちらをみていた。
「友だち少な過ぎだろう。じゃあ、俺が友達紹介してやる。」
竜は携帯を取り出し誰かに電話をかけ始めた。
電話を切ると、
「喜べ、今夜会えるって。」
竜はテンション高いけど、あたしは乗り気になれない。
「でもその人が来週あたしの暇つぶししてくれるの?」
いい人ならいいけど。
竜は鼻歌うたいながら、どこかへ行ってしまった。

