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それからしばらくして、例の如く、彼からのお呼び出し。

毎回毎回、彼女でもない私に、律儀に時間を割いてくれる君が愛しいです。





他愛のない会話の途中、ふとこのまえのことを思い出した。


「あ、ねえねえ、聞いて聞いて〜」


「ん? なに?」


コーヒーを飲みながら、彼は優しく微笑みながら私に話を促す。



「この前ね、すれ違いざまに、ほっぺにちゅーされたの!」



ぴたり、彼の手が止まる。


驚いたように、眼を見開く。



「……は? 誰に?」



ゆっくりと言ったその声は、いつもより少し低くて、なんだか怖かった。


……なんか、怒らせた…?



「あ、いや、勿論女の子だけどね!」


慌てて付け加えると、それを聞いた彼は、さっきの空気から一転、なんとなく安心したようにふわりと笑って、


「愛されてんね」


と言った。







……あの、今の、


これって、


もしかして、


俗に言う、



*モチのつく、アレですか?*

(そうだったら、いいのにな)