中年男には珍しい中肉中背。 狸のように腹は出ていない。 彼を横目で見ながら、紘哉はボソッと呟いた。 「夏なのに冬沢さんなんですね」 「うるせぇよ。んなこと言ったらコイツだって夏なのに春野じゃねぇか」 狸翠は雄太郎を指差す。 いきなり指を差され、雄太郎はさらに縮こまった。 「まぁ、そうですけど」 「おい、お前は誰だ?」 「三雲紘哉です。で、そっちのスーツが三雲芳樹」