こちらミクモ探偵事務所3


中年男には珍しい中肉中背。
狸のように腹は出ていない。

彼を横目で見ながら、紘哉はボソッと呟いた。

「夏なのに冬沢さんなんですね」

「うるせぇよ。んなこと言ったらコイツだって夏なのに春野じゃねぇか」

狸翠は雄太郎を指差す。
いきなり指を差され、雄太郎はさらに縮こまった。

「まぁ、そうですけど」

「おい、お前は誰だ?」

「三雲紘哉です。で、そっちのスーツが三雲芳樹」