こちらミクモ探偵事務所3


「書いてなくても、警察に連絡したら人質が殺されるとか考えないんですか?」

「全然思わなかった」

「サスペンスとか見ないんですか?」

「見ないよ」

「……夏紀さんが心配ですね」

芳樹はため息をついた。
完全に正しい判断力を失っている。

「――まぁ、そんな責めるなって。善良な市民が連絡してくれたんだから」

開けっ放しのドアから人の声が聞こえてきた。