芳樹は困ったように眉をひそめる。 何だか雲行きが怪しい。 「実はさ、警察に言っちゃったんだよね」 「まさか……誘拐のことを?」 「うん。普通さ、こう言うのって警察に言ったら人質が殺されるとか考えないのかね?」 「考えてないから通報したんだろ」 厄介なことこの上ない。 紘哉は残りのサンドイッチを放り込み、窓の外に視線を移した。