* 夜。 鈴虫の声がちらほら聞こえる。 結局今日も誰も来なかった。 紘哉は安堵のため息をつき、玄関の鍵を閉めようとしたその時。 「ごめんください!!」 ドアが勢いよく開いた。 ドアの真正面に立っていた紘哉は鼻をぶつけ、その場にうずくまる。 そんな紘哉に気遣うことなく、勢いよく入ってきた男は声を張り上げた。 「芳樹さーん!」