「月によって報酬が入る時と入らないときがあるからさ。とても家族に言えたもんじゃない」 「なるほど……でも何で俺?」 紘哉が不思議そうに首をかしげる。 芳樹は本棚に近寄り、本を一冊抜き出した。 「聞いた話によると君、孫紗江のミステリー小説が好きなようだね」 「まぁ。面白いし」 孫紗江とは、最近流行している中国のミステリー作家だ。 どうやらその娘が今日本に来ているとかの噂も立っている。