紘哉に構わず、彼はドアを開けた。 裏口だからと言って鍵を掛けておかないのは物騒だ。 「おじさん――」 「靴持って、そこの部屋に行って」 「だから――」 「あ、ついでに玄関の鍵も開けておいてくれないかい?」 「……」 意味が分からない上に、話を聞いてくれない。 紘哉は裏玄関で靴を脱ぎ、何も言わずに指差された部屋に入っていった。