人はいないかと辺りをキョロキョロ見ていると、彼の肩に手が置かれた。 「君が紘哉くんだね?」 「え……」 少し驚いた表情をして振り向く。 そこには人の良さそうなおじさんが立っていた。 「最後に会ったのが小学校だっけね?覚えてる?」 「……まぁ、ハイ」 覚えているが、いい思い出ではない。 小学校低学年の時に、彼の万年筆を折ってしまい、こっぴどく怒られた。 それ以来会ってない。