最寄り駅から電車を乗り継ぎして約二時間。 ようやく目的地に着いた。 蒸し暑い。 電車の中にいたので余計感じる。 駅の回りには田んぼしかなかった。 稲が青々と茂っている。 田舎中の田舎。 無人改札を抜けると、強い日差しが紘哉に降りかかった。 「あっつー……」 彼は呟きながら、手を目の上にかざした。