こんなものいつ書いたのだろう。 少なくとも、紘哉が来ている間に書いたと言うことは分かっている。 『行ってきます。すぐ帰ってくるから』 そう言って、芳樹は家を出ていった。 あの時の光景が頭に蘇る。 「……バカ。次会ったら一発ぶん殴ってやる」 手紙の上にポツポツと染みができる。 泣いていると気付くのに、そう時間はかからなかった。 紘哉は顔をあげ、もう一度芳樹を見る。 相変わらず安らかな顔でいる。 「……さようなら」 彼はそう呟くと、霊安室を出ていった。