狸翠が悪いわけではない。 あの時しっかりと止めていれば―― 心のどこかでは分かっていたはずだ。 なぜ実行に移さなかったのか。 今の紘哉には、後悔と自責の念しか無い。 「紘哉」 呼び掛けられて振り向くと、狸翠が立っていた。 紘哉は呆然としたまま彼を見つめる。 「再会の最中に悪いな」 「いえ……大丈夫です」