『――間に合わなかった。山田さん家の松の倉庫にいた』 先ほど、狸翠が病院の待合室で言っていた事だ。 苦々しく事情を告げる狸翠の顔が、今でも忘れられない。 『そうですか……』 『簡単にだけど、色々と見てみた。 恐らく、昨日の時点で亡くなっていたと思う。 ナイフで心臓を一突きだ。 背中まで貫通してない所を見ると、前から刺されたらしい』 『……』 『因みに倉庫の持ち主の山田さんはいなかった。 ――すまん、間に合わなくて』